記憶に無いほど昔、前職の同僚が草稿を書いていたので少し見させてもらった。気づいたことや感想を伝えたら最近出版された本を貰った。せっかく頂いた(献本というらしい)のでちゃんと読後の感想を書かねばと思いつつ1つ困ったことがあった。残念ながらTracをちゃんと使った記憶が無いのである。5年以上前に遊びで自宅サーバに入れて触ったことはあった気がするという程度。しかし、Tracはレイアウトというか色合いというか見た目が割と好きな方なので頑張って書いてみたいと思う。
さて、巷にはプロジェクト管理、チケット(課題)管理、バグ管理などを目的とするシステムがあるし、ほとんどの開発者がそうしたものに触っていると思う。しかし、良いツールを使っていてもプロジェクトがうまく回るとは限らない。実際うまくいっていないプロジェクトの方が多いだろう。そうしたなか、こうした入門書で何のためにツールを使っているのかを見直すことには意味があるかもしれない。
Tracを何のために使うか?
- 基本的なプロジェクト情報の共有
- マイルストーンの共有
- 実績の把握
- テスト状況の把握
- 課題(チケット)の共有・管理
例としていくつか挙げたが、プロジェクトの状況は常に変化するので常に情報と状況を把握しておくことが重要である。Tracはあくまでその為のツール。
勝手に対象読者を設定
- 先に挙げた情報をうまく把握できていないと自覚してる人
- 紙ベースで管理しているがやり方を変えたいと考えている人
- Excelで管理しているが (ry
- 迷走している人
本書で得られるもの
話を分かりやすくしようとする為にマンガのストーリもあるので、
こうしたツールに慣れていない人にも利用シーンを想像しやすくなっている。
特に印象に残ったのは、チケット(課題)のフローについての丁寧な説明が
為されていることである。チケットにはデフォルトで5つのステータスがある。
- new / assigned / accepted / reopened / closed
- 新規 / アサイン済み / 受け入れ済み / 再開 / クローズ
これらのステータスが、図を使いながら分かりやすく記述されている。
異なるステータスを必要とする場合には新しいステータスを作り、
読者のプロジェクトに合ったフローを作ることができる。
それも深いカスタマイズを必要とせず、設定ベースで簡単に行える。
次に印象に残ったのはGit、CI連携が紹介されている章である。
最近の開発プロジェクトでは分散型ソースコード管理システムを使うことが
多いと思うが、そうした声に応えて加筆されたものと考えられる。
- Gitの基本的な使い方: リポジトリの作成やブランチの概念
- GitとTracの連携: 具体的な設定方法
- TracとJenkinsの連携: JenkinsからTracチケットへのリンク自動作成
内容ではGitやJenkinsの専門書に及ばないものの、
これらのツールの導入を躊躇していた場合には突破口となりうる。
他にも、ガントチャートを使った見える化や
バーンダウンチャートの表示などについての逆引きもあり、
これからTracの導入を考えるプロジェクトには本書をお薦めできる。
その他
Git、Jenkinsとの連携およびベストプラクティスの部分を
もっと厚くした続編があると面白いかもしれないと感じた。
どんな本でも謝辞を目にするとこっちが恥ずかしくなるのは何でだろう。
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